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2021年11月1日

人事役職者&コンサルタントアンケート

リーダー育成はどう変わっていくべきか

近年の変化は、社会やビジネスの仕組みを変え始めています。
様々な場面で、これまでのやり方の延長線上ではなく、新たなやり方・あり方が必要といわれています。
では、組織・人材開発はどのように変わっていくべきなのでしょうか。
その方向性を探るため、今回はリーダーシップ開発にテーマを絞り、「リーダーシップ開発の目的・今後のあり方調査」を実施しました。
もちろん多い回答のほうが正しいというものではありません。ですが、取り組みの傾向とその考え方を知ることはこれからの人材開発の指針になると考えています。この調査の抄録を報告させていただきます。

1.リーダーシップ開発施策の目的は、経営や事業の推進者である「経営リーダーの育成」


最初に、リーダーシップ開発施策の目的としては「経営リーダーの育成」と「組織リーダーの育成」のどちらをより重視するのかを伺いました。

近年、これからの企業の変化は、組織の一部のリーダーの意思決定によって状況が決するものではなく、組織のそれぞれの場所でリーダーシップが発揮されることが必要だという課題が指摘されることも多くなっています。そのためリーダーシップ開発施策の目的も、少数の選抜育成というよりも組織リーダーの育成を重視する傾向が強まっていくかもしれない、と予想をしていました。
ところが、いただいた回答からは、むしろ事業や戦略、企業パーパス等を推進する「経営リーダーの育成」を重視する傾向を強めている、ということがわかりました(5年前は「組織リーダーの育成」を重視の回答が50.0%だったが現在は27.8%。「経営リーダーの育成」は32.0%だったのが現在は37.0%)。
企業のリーダーシップ開発に関わるコンサルタントの回答では、さらにはっきりと(48.6%と半数近く)、「経営リーダーの育成」を重視すべきとする回答をいただきました。変化のために必要なのは、あるいは不足しているリーダーは、組織リーダーよりも経営リーダーであると認識しているということでしょう。

 

2.この5年間で約9割の企業がリーダーシップ開発施策に変更を加える


この5年間でリーダーシップ施策がどう変化してきたかを尋ねたところ、約9割の企業が「変化があった」と回答しています。変化の内容をもう少し確認するためにフリーコメントを見ると、【施策の内容の変化】の部分には「多様性の受容」「自立・共創型リーダーシップ」等、5年前から新たに取り入れたテーマが多く記載されていました。この設問だけでは全体での割合はわからないものの、必要とするリーダーシップの質に変化が起きていると考えます。
また、【開発の目的の変化】【対象層が変化】のフリーコメントにある、「体系化」「仕組み」という言葉、対象層を広げる等のコメントからは、施策は体系化・一元化の方向性にあることが感じられます。

 

3.重点対象は「次期部長層(選抜課長層クラス)」。「現役員層」への対応をどう決定するかは課題か


企業の人事役職者に対して、現在と今後のリーダーシップ開発施策の重点対象層を尋ねたところ、最も回答が多かったのは「次期部長層(選抜課長層クラス)」となり、現在と今後はほぼ同様の傾向です。コンサルタントからの回答でも「次期部長層」が最も多い回答でした。
その理由として、「次期部長層」こそ将来の経営リーダーを輩出するサクセッションプランを始動させる階層である、といった経営リーダー育成を意識したコメントがある一方で、管理職における一番のボリュームゾーンであることや現場への波及効果が最も大きいといった、経営リーダー育成というより組織全体への影響を重視するコメントも見られています。

また、コンサルタント回答では重点対象を「現役員層」とする回答が約2割あったのに対して、企業人事からの回答では現在・今後ともゼロでした。この回答傾向の乖離の理由は、この設問からは捉えられないものの、考察が必要な部分だと考えます。

 

4.リーダーがもつべき力は、「ビジョンを示す力」。
企業人事は社内に対する影響力を重視し、コンサルタント回答では社外に対する影響力への指摘が多い


今後のリーダーシップ開発の重点テーマを、選択項目を最大3つまでに絞っての回答をお願いしたところ、企業人事・コンサルタント共に最も指摘が集まったのは、「未来を構想してビジョンとして示す力」でした。未来の不確実性は高いという認識から、進むべき道を見つける力を重視しているのだと考えます。

企業人事とコンサルタント回答の傾向がわかれた項目もあります。「メンバーのエンゲージメントを高める力」は企業人事回答では2番目でしたが、コンサルタント回答では9番目。「社外パートナーと価値を共創する力」という項目は企業人事回答では10番目だったのに対し、コンサルタント回答では5番目の多さとなりました。
コンサルタントは、社外の関係者へのリーダーシップの発揮が必要と考えているのに対し、企業人事は社内への影響力を重視する傾向が強いといえそうです。

 

5.視野・視座を高める環境をどう作り出していくか、がこれからの課題


リーダーシップ開発の効果を高めるために必要なことを企業人事に伺う設問では、目の前の業務から視野を広げる環境の必要性を示す項目が回答を集めました(社外や異業種との交流〈または協働の経験〉:27件、幅広い経験異動:20件)。単一の職種でのキャリアを歩むことが多い現状や、そのため内向き志向に陥りがちな環境から変えていくべき、と捉えている傾向が読み取れます。
また、経営層や上司の関与(経営層の積極的な関与:23件、上司の関与:14件)も回答を集めた項目でした。これは、視野・視座を高めることに伴って生まれるであろう、これまでの業務のプロセスやあり方の見直しへの理解やスポンサーとしての擁護が必要だという指摘だと考えます。

 

6. 企業の施策立案者・実行者が大切にすべきこと


コンサルタントの方々に企業人事へのアドバイスを伺ったところ、人事自身のあり方/覚悟についてのコメントを多くいただきました。まとめに代えて、その部分をご紹介します。

(参考:コンサルタントフリーコメントから抜粋)
・人事担当自身も、自社に必要な次世代のリーダーを本質的に理解した上で施策の要件をまとめていくことが必要(他5件)
・世の中の流行りに影響されて企画しないこと。企画者が腹落ちするものにすること。なぜ、何のためにリーダーシップ開発が必要なのかを明確にできるまで考えること(他1件)
・大手企業がジョブ型の組織や人材マネジメントを志向する中で、組織と個人の関係のあり方をどう考えるか、その思想に基づいたリーダーシップ開発が求められるのではないか(他1件)
・ビジネス、現場に対する知識と意識。自律自立。本気と信念等。本気で会社を変革し成長させる意識のある人が担当しないとダメ!
・傍観者的にリーダーシップ開発施策を立案・実行するのではなく、自身も「実行者」または「支援者」としてその施策に積極的に関わるという覚悟をもつことが大切である(他1件)
・自分が変革の一員だという当事者意識と責任感をもつこと(他6件)
・本質的な視点で施策のプランニングや実行を行うこと(他5件)
・実践知をいかに作り出すか?(立案者側が経験をしていないことを考えるために、マネジメント経験者が立案者となることもあり)
・これまでの施策を手放し、新しい物の見方で、一緒に「企て」にチャレンジすること(他1件)
・理念的には「多様性」「個性を活かす」を掲げているといるところは多い。しかし施策には「均一」「平均」「一般的」な人を求めているものになっていないかをしっかり確認すること(他2件)

アンケート名 : リーダーシップ開発の目的・今後のあり方調査

調査対象      :  企業回答:人事役職者55社
       (従業員数3,000名以上:42社、1,001名~3,000名未満:7社、1,000名未満:6社)コンサルタント回答:161名)

調査時期      :  2021年7月16日~7月28日

調査手法      :  WEBアンケート形式

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