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組織が「変われる能力」を獲得するための4つの方法

日本企業が直面しているテーマ=「変われる能力」

経営学では、「よい組織」を生物の組織に例えることがあります。

人が異動したり外部環境が変化しても機能を安定的に維持できる、恒常性(ホメオスタシス)のような機能が組織にも必要だと考えられ、初期の経営学では環境変化に遭っても変わらない組織を分析し、それを他の組織にも適用できるように一般化する研究が行われました。組織が安定することには、大きな意義があります。

しかし、これからは不連続な変化が常態的に起きると予想されています。急激な変化に晒されなかったとしても、このままでは消滅してしまうという状況にある企業や事業、商品も多くなってきました。しかし逆にピンチはチャンスでもあり得ます。

私は企業の組織開発のご相談を受ける立場にありますが、「”あれをやりたい“”これをやりたい“といった動きが自然にでてくるような組織をつくりたい」というご相談をうけることが多くなってきました。これは、「変われる能力」をもつことで安定的に持続する組織になりたいということでしょう。

実は「変われる能力」とは、一人ひとりの「余裕」の部分から生まれます。誤解を恐れずにいえば、組織の中に、業務の生産性とは逆行する動きを取り入れることだともいえます。今、組織づくりにおいて難しさを感じるのはこの部分です。

「変われる能力」を獲得するための4つの動き

「うちは変革がうまく進んでいます」という言葉を聞くことは稀ですが、外から見ると変革が進みそうな期待感を抱かせる組織があります。そのような組織の共通点を整理すると4つの動きがあるように思います。

1.事業に広がりを感じさせるストーリーがある
2.新しい動きの芽を見つける動きがある
3.芽を面白がる人が集まるのを助ける動きがある
4.芽を育てる「場」がある

そこでここでは、それぞれの企業のヒントとすべく、この4つの動きのポイントと具体的な取り組みをご紹介させていただきます。

1.事業を広がりを感じさせるストーリーがある

これは、例えば「車の製造会社」ではなく「モビリティカンパニー」、「体温計を作る会社」ではなく「人々の健康を創る会社」といったことです。「体温計を作る」よりも「健康を創る」と考えたほうが、チャレンジする余地が広がります。旧来の事業定義では生産性には関連のない活動に思えたことが、意味のある活動になります。

そのためには「事業の意味づけ」を変える必要があるかもしれません。変えるといっても、一度決めてしまうと動かせないような硬直的なものではありません。Amazonも初期の事業ビジョンは「最高の品ぞろえを持つ本屋さん」でした。本に限定するのをやめ、今に至っているのは周知の通りです。

これから事業の意味づけや活動のイメージを描くのであれば、次のようなワークが有効だと考えます。

①今の組織の状態をできるだけリアルに描写する
②今の状態を引き起こしている過去の要因を抽  出し関連性を確認する
③良い未来、悪い未来を自由に連想する
④未来と現在をつなげ、何が起これば良い未来 (悪い未来)になるのかを描く

活動の基となる大切な部分なので、もし意見がまとまらないようであれば、第三者の目を借りたり、プロのファシリテーターをつけることも有効な選択肢です。

2.芽を見つける動きがある

次に、変わったアイディアや価値観をもつ人材、つまり「芽」をもつ人材を見出す動きが、常態として組織の中にあるということです。

トップが一生懸命に「アジャイルに動こう。60点でいいので10個のトライをしよう」といっても、現場は依然として1つのトライで95点をとろうと行動することが多いかもしれません。「思ったことは役職に関係なく発信しよう」といったとしても、逡巡を感じる人もいるでしょう。

しかし、そんな中でも行動を起こそうとする人材はいます。彼らは、これまでの行動基準からは外れた人です。場合によっては本流の事業にはいない人かもしれませんし、いたとしても効率性を求める組織の中では隠されてしまう人かもしれません。そんな芽となり得る人材を見出すための組織の動きとは、目利きと透明性です。

例えばA社では、変化を心から願う人でないと変化の芽をもった人材は目利きできないと考え、役員が研修の場面に参画し、受講者の言動から可能性のある人材を見つけ出しています。その後、各役員がスポンサーになり、彼らの言動を保護し伸ばしています。またB社では、芽をもった本人たちに手上げしてもらおうと考え、組織を変革する人材像を明示し、選考の方法も明示して、公募・選抜を行っています。

3.芽を面白がる人たちが集まるのを助ける動き

新しいコンセプトの活動や考え方がある程度周囲に知られるようになると、「面白そう」「自分も関わってみたい」という人が現れます。そんな新しい動きに光をあて、社内に伝播する動きがあることも大切な要素です。

社外への発信が社内にも有効なメッセージになることもあります。トヨタ自動車の「トヨタイムズ」は、その一例ではないかと思っています。

その新しい活動やコミュニティに名前を与え、存在感を与えることも効果的かもしれません。周囲の認知度の向上という点でも、本人たちの自覚を高めるという点でも有効です。

また、集まりやすい働き方やルールをつくること、例えば業務時間の何%かを既定の業務以外に使ってよいというルールや、週に1日だけの勤務OK、などの働き方の多様性を高めることも自由な行動を促し、人が集まることを助ける条件づくりとなります。

4.芽を育てる「場」をつくる動き

人の集まりが継続し、単に様々な人が集まっているだけでなく、化学反応が起きる「場」となるためには、いくつかの条件があります。

1)後ろ盾となる経営陣がいる
2)古参メンバーも新入りメンバーも発言は平等
3)競争ではなく共創を目指して、違いを尊重する行動がとれる
4)必要に応じて診断ツール等を用いて、自分たちの状態を振り返ることができる
5)マネジャーは管理ではなく、活動のハブとして動ける

最後の、5)の部分が一番難しいと思いますので、もう少し補足します。これからのマネジメントのあり方については既に様々に論じられていますが、そのポイントは3つあると考えます。

①仕事をスマート化していく力・行動
目の前に時間が足りない程の仕事があるのに、新しい取り組みを継続できる人はいません。不要なプロセスの整理や、DXの力を使って仕事をスマート化していくことが必要です。

DXやプロセス変革というと、専門部署が担当するような仕事に感じるかもしれませんが、そうではありません。自らの業務の周辺、それこそ半径5~10mくらいの身近な変革を進められるのは、その業務に携わっている人だけです。

②チームに火をつける力・行動
チームの目的に向かうことをメンバーに動機づける行動を、日常的に行えることが求められます。そのような行動のために、組織の状態を見える化するサーベイは1つの有効なツールとなります。ですが、「見える化」することで把握できた問題の、問題解決に終始することがないよう注意することが大切です。チームメンバーの異なる意見を聞くこと、そしてディスカッションできることはマネジャーに必須の行動となります。

③社内外のリソースをつなぐ力・行動
自分や自分の周囲のリソースだけでは、できないことも多いはずです。社内外にネットワークをもち、リソースをつなぐ力や行動が求められます。

社内外のネットワークをもっている人材が優秀と評価される時代はもう始まっています。ネットワークをもたない人は、マネジャーの資格はないかもしれません。もちろん、マネジャーだけが奮闘すればよいわけではなく、組織の構成員全員にも同じ意識・スキル・行動を求めていくことが大切です。

すべてを学習プロセスととらえる

「変われる能力」を獲得するための4つの動きを紹介しましたが、それでも芽の何割かは途中で枯れてしまうでしょう。
しかし、それは失敗ではなく、次に向けた「学習プロセス」とすることが重要です。植物に例えると、枯れてしまったものを廃棄するのではなく、次の芽が育つ養分にするようなものです。

そのためには、皆で学ぶスタンスを持ち、意図的に「変われる能力」を高める4つの動きを組織内にもつことが根源的に必要だと考えます。そのような行動が持続するために、私もこれからも力を尽くしていきたいと思っています。

株式会社セルム 執行役員
加藤友希

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