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OP自発的に学び続ける人材と

自発的に学び続ける人材と風土を育むことがこれからの人材開発の目的

これからの人材開発は、究極とも言える目的に取り組まなくてはならない

ソニーの創業者、井深大氏の語録に

「トップがわからなかったら、ケンルてでもとことんやらないと本物にならない」

「アイディアだけして、独創生だ、創造性だといっていてもはじまらない」

という一節があります(※1)。諦めね。熱狂的に取組む。そしてその取り組みを通じて人が成長していく。今、企業のトップは、切にそんな企業風土を求めているのではないかと感じます。

 多くの日本企業が事業の再編を終え、攻めるべき領域と守るべき領域を整理、「稼ぐ力」を高めました。過去の負の遺産で身動きが取れないような状況では、もはやありません。これから取り組まなければならないのは、既存事業の稼ぐ力を生かした、新たな価値創造の戦いです。自前主義と決別して、あらゆる相手と組むことを視野に入れながら歌一方、組織や事業の間にある壁を壊すこと。さらにはデジル技術を生かして、より顧客や市場に密着してイノベーションの可能性を高めていくことに本気で取り組まなければなりません。非連続な変化が激しく起きる環境下では、自社の将来の姿を描き、描いたゴールから逆算して進んでいくことは難しくなります。これまでは有効だった環境分析や緻密な戦略立案より、試行錯誤しながら進む道を見つけ出していく実行力の方がずっと大切になります。

 ビジネスや社会の環境変化が、経営戦略のあり方を、そして人材開発のあり方を深ところから見直す必要性を迫っているのです。実際に、弊社がお手伝いする企業の人材開発の課題感も変わってきました。「内発的動機で自ら学び続ける人材の集団にいたい」「いわゆる強いリーダーよりも、社内のメンバーや上司、取引先の方をワクワクさせることができるリーダーを育てたい」「集合研修とOJTという、これまでの人材開発の2本柱は、今後も同じなのだろうか。何か第3の柱が必要なのではないか」等々。「これらのお客様の言葉の根底に共通するのは、「業績をあげるため」「新しい戦略を実行するため」に必要なスキルをもった人材の開発から、「個」「自発性」「ワクワク」などをキーワード」に、社員一人ひとりが「学び続「け」「成長し続ける」ための人材開発へのシフトです。私も人材開発に長く携わる者として、また一人の経営者としても、人を学ぶ気持ちにさせることの難しさは知っているつもりです。だからこそ真剣に、この究極ともいえる人材開発に向き合わなければなりません。

 

人が学びに向かう力ズムとは

 人は何らかの刺激を受け、それに反応して何らかの感情を抱きます。そして、その時抱いた感情に基づいて行動を起こしていきます。同じ刺激であってもそれに反応して枢感情は様々で、ポジティブな感情もあればネガティブな感情もあります。好奇心やワクワク感といったポジティブな感情を抱けば、人はその刺激の対象に近づこうと思い、そのための学習や行動をおこします。逆に不安や危険、恐怖を感じれば、その対象から回避する行動を起こします。つまり人が自発的に学習し、行動を起こすのは、刺激に対してポジティブな感情を抱時です。

また、人のおかれている環境を「コンフォートゾーン」「ストレッチジーン」「パニックゾーン」という3種類に分類して人の学習を研究した理論もあります。コンフォートゾーンは、慣れたやり方や環境の中で安心していられますが、新たに学習する必要がなく、成長も起きないゾーンです。一方で本人が望まい、或いは本人には強すぎる負荷がかかると、不快感や恐怖を抱き、バニックになり、一時的には必死に対応するかもしれませんが、多くの場合は長続きしません(パニックゾーン)。

人が最も成長するのはストレッチジーンです。ストレッチジーンとは、例えば新入社員の時、周は未知のものばかりで落ち着かない気持ちですが、どこかワクワクして学ぶことに前向きな気持ちでいる、そんな内発的な学習動機のある状態のことです。これからの人材開発は、このような人が学Aに向かうカニズムを理解して対応を考えていく必要があります。

※1『日本復興の力ギを握る「ソニーのDNA」』(講談社2018.佐高信)より

 

組織の上から学ぶ姿勢を示す

企業の経営陣や部門長の言動が、人や組織風土に及ぼす影響は極めて大きいものです。メンバーは上の人間の言動をよく見ています。

例えばメンバーが新たな企画を持ち込んで来た時、「前例がないからやめておけ」と上司がストップをかけてしまうのをよく目にします。上司の保身の姿勢が耐えられなくなって退職を決めた、という方にもたくさん会って来ました。しかし部門長や経営陣が学ぶ姿勢や情熱をもっていれば、「前例がないからこそ、そのプロセスで我々が学ぶことも多いはず」、とメンバーの背中を押すことができるでしょう。そして是非、その裏で経営陣や部門長自らが動き、新たなビジネスルートや人脈を開拓し、メンバーをサポートしてあげるべきだと思います。

このように自ら新たな行動を起こすと、経営陣や部門長であっても様々な壁にぶつかり、「その壁とは何か」「乗り越えられるものなのか」「自分は何者か」「何がしたいのか」、そんな問いを突きつけられることになります。その問いに答えるために、たくさんのメンバーの話に耳を傾け、新しい人脈や機会を自らして会いに行き、関連しそうな書籍を集中的に十数冊読み込む。上司のそんな姿を見れば、メンバーは「人として」尊敬の念を抱き、上司の期待に応えようと努力すると同時に、学ぶ姿勢を自然と身に付けていきます。

 

周囲をワワさせることがきるマネジャーを選び、育てる。

次に、マネジャーの影響力も重要です。メンバーが仕事に対してポジティブな感情を抱くか、ネガティブな感情を抱くかは、一緒に取り組むマネジャーのリーダーシップの影響が大きいからです。先ほどご紹介した「“強い”リーダーではなく、ワクワクさせるリーダーを育てたい」という言葉は、このことを指しているのでしょう。

具体的な対策としては、学ぶ力の高い人材をマネジャーに登用することが第一に挙げられるでしょう。人を“ワクワクさせる”のはテクニックではできません。学ぶことができず、自分の可能性にワクワク感を持てない人に、メンバーのワクワクを創ることはできません。したがって、管理職候補の研修や昇格アセスメントで観察すべきなのは、マネジメントのスキルだけでなく、「学ぶ姿勢があるか」「これまでも学び、自ら成長の機会を得てきたか」ということです。

学ぶ力を観察できるポイントは、まずは相手の話を「よく聴ける」かどうかということです。よく聴けるとは、相手に誠実に関心を寄せ、共感でき、そこからユニークな論理に展開できたり、さらに質問をして、会話の中から新しい発見ができることです。相手の話をよく聴ける人は、相手の可能性も自分の可能性も広げることができる人だといえます。

また、その人材が自分の個性を自覚し、自分に「タグ」付しているかどうかも大切です。「一番大事にしているものは何か」「他人」に負けない得意なことはあるか」「今後どう成長していきたいか」等の質問をし、こちらの心に響く回答ができるかどうかで確認します。本人が自分のツを見つけていれば、周囲の人材のタグにも関心を持ち、日々のやりとりの中でその人の個性を感じ取ることができます。つまり、自分ができていいと、人のことはわからないのです。

最後に、人脈をもっているかです。「社内外にどんな人脈をもっているか」「人脈を広げるためにどんな活動しているか」などを確かめます。この時注意すべきは、社内に強い人脈があることを、「この人は人徳・人脈のある人だ」と誤解しがちなことです。仲が良いというのは裏返せば同質化した楽な関係とも言えます。同質化した人脈は、すでに共有されている情報や価値を深めることには役立ちますが、新しい発見や学には繋がらないことが多いものです。

日頃は少し距離があっても、自分が相手に認識され一定の信頼もおかれていて、何かあるとその人から機会が巡ってくる。そして自分も同じように機会を提供できるといった、ギブ&テイクが成り立っている人脈が、学ぶ機会を増やすためには非常に大切です。

また最近は、仕事は好きだが、人をマネジメントして組織に責任を持つことを避けたがる人も多くいます。その一方で、マネジメントに関わることで急成長したり、プレイヤーとしても一段階成長する人が多いことも事実です。そこで「見習い」期間を設けて本人も周囲もトライアルするのも有効な打ち手です。トライアルといっても、人材の選別ために行うのではなく、育成の視点でフォローしつつ、できれば見習い期間中に小さな失敗を経験させます。失敗すると人は謙虚になれますし、人の痛みがわかるようになります。

 

新しい事業構想やビジネスモデル立案の機会を、現場のあちこちに作る

既によくいわれていることですが、新しい事業やビジネスモデル立案の機会は、最高の学びの機会です。今あるものを改善したり、リエンジニアリングすることは、問題解決力やロジェクマネジメントスキルさえあればある程度の成果は出ますが、新たなものを「創る」際にはスキルだけでは不十分です。誰も正解をしてくれないばかりか、周囲の反対や冷ややかな目に晒されることも多いものです。だからこそ自分がじて力を尽くすために、「なぜそれをやるのか」「どうしてそれがやりたいのか」という根源的な問いに自身で答えていかなければません。答えのない中で日暗中模索することに耐え、その実現までのプロセスの中で学びが起きるのです。

新規事業と学びの関係性については、学術的にも興味深研究があります。仕事に対する目標志向性は「業績志向」と「成長志向」の2タイプあるといいます。業績志向の人材は、周囲から高く評価されることに重きをおき、業績をあげることに意欲を燃やします。一方、成長志向の人材は、周囲からの評価はあまり気にせず、自分の能力を高めることに重きをおきます。この2つの志向性と新規事業の業績に因果関係があるのかを調査した結果、業績志向は新規事業の業績に影響しないが、成長志向は業績を高める影響があるという結果が出ています(※2)。この結果は、成長志向性の高い人材が新しい事業やビジネスモデル立案の適任者であることを示ています。裏を返せば、新しい事業やビジネスモデル立案は、成長志向性を伸ばし、活かす機会であるともいえるのです。

新規事業の機会など当社にはそうそうない、とおっしゃる方も多いでしょう。でも少し考えてみてください。昨今は顧客体験(User Experience)やデータをキーワードに、統合的なマーケティングやデジタルトランスフォーメーションに取り組む企業が非常に増えています。多くの職場もそれと無縁ではいられない状況になっています。異業種の企業との共同研究や事業提携なども増えています。業務のデザインのしかたによっては、新しい事業、新しいビジネスモデルの立案となる余地はいくらでもあるはずです。捉え方とつ変えれば、今の現場は学の機会の宝庫なのです。自発的に学び続ける人材と風土を育む、これは人材開発における究極の目的です。学ぶ努力をしない企業には衰退しかありません。競うべき相手は競合他社ではなく、変化を恐れ、学習をする我々自身です。足元が良い状況の今が、取組みを始めるべきタイミングであることは間違いありません。

※2『「事業を創る人」の大研究』(インブルス 2018田中聡、中原淳p.97)より

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