Opinion

転換点を乗り越えるために必要な
人材開発の3つの取り組み

採用と育成を連動させる ヤング・タレント・マネジメント

  優秀な学生の中には、「ベンチャー企業や外資系企業のほうが面白そう、自分の力が活かせそう」と考える人が少なくありません。これは裏返せば、大企業にはあまり魅力がないと感じていると言えます。

 しかし、これは偏った見方です。今、多くの大企業には、イノベーションを起こすチャンスが山ほどあります。問題は、採用プロセスにおいて、学生にそのことがきちんと伝わっていないということです。

 これを変えるために、まずはリクルーターが重要です。広告やWebで母集団形成をし、大量に応募を受けるというリクルーティング手法の時代が長く続いたため、実はリクルーターの仕組みが形骸化していたり、社内でリクルーターの活動への理解が得られにくくなっているという声をよく聞きます。しかし、ダイレクトリクルーティングの動きが再び盛り上がる気運の中で、その重要性が改めて認識され始めているように思います。

 私は、人材開発の事業に永く携わる中で、リーダーはリーダーにしか触発できない、ということを強く感じています。これは採用の場面でも同じです。リーダーの資質を持った優秀な人材を採用するためのリクルーターには、エース級の社員を充てるべきです。自社の未来や現場のやりがい等についての、リアルな情報を伝え、相手を感化することができるのは、現場のエース級の社員をおいて他にはいません。

 リクルーターとなる彼らにとっても、自分がこの企業で働く意義は何か、喜びは何か、ということを改めて考える機会となります。つまりリクルーター育成は、リーダー育成そのものなのです。

 また、学生の発掘のためにインターンを実施している企業は多いですが、それが必ずしも学生の惹きつけにはなっていないのが実態です。そこで私は、大学3年生のうちに、企業が選抜教育で行っている形に近い「ビジネスリーダー教育」を受ける機会をもつことが有効ではないかと思います。

 例えば、ソフトバンクでは2016年に地方創生×ICTをテーマに掲げた地方創生インターンを立ち上げました。長野県塩尻市が抱える5つの課題を解決する提案を、ソフトバンクの技術やビジネス資産を活用して創るというものです(※3)。答えのない課題に取り組み、教育し、成長できた実感をもった人材を生み出し、さらに自社に惹きつけることができれば、企業としても一石二鳥の取り組みと言えます。

 しかし、せっかく優秀なリーダー候補人材が入社しても、その後何年も思うようなことができない状態が続くと、「会社ってそんなものだ」と諦めて、本人も気づかないうちにリーダーの資質が枯れていってしまいます。
そして最悪の場合、退職に至ってしまうのです。それを防ぐために、一部の若手人材を対象に、早期からリーダータレントとして育成する特別なキャリアトラック(「ヤング・タレント・マネジメント」)の仕組みをもつことも必要だと思います。入社3年目までに、信頼が置けるメンターと上司のもと、タフなアサインメントを与え、それでも結果を出すという経験をさせて、一気にリーダーの資質を開花させるのです。

 こういった一連の仕組みを運用するためには、人事部の組織が採用担当・育成担当といった機能別に分担していると、実現しにくいと思います。入社3年目までは「採用」と「育成」という垣根を取り払い、一つの組織を作って(例えばヤングタレントチームのように)一気通貫で人材マネジメントを行うべきではないでしょうか。

※3   地方創生インターン詳細: http://ture-tech.com/ 、参考記事: http://diamond.jp/articles/-/94256

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