マネジメントのプロフェッショナルを
育てる

株式会社セルム 代表取締役社長 加島禎二  

マネジメントのパラダイムが変わった

誰もがミドルマネジャーを目指せる時代は、残念ながら終わりを告げました。
人口減による国内市場縮小と企業内の高齢化によって、マネジメントポストは限られています。ポストを増やさずに業績を維持するためには、ミドルにプレイヤーとして活躍してもらうしかありません。さらにミドルには、雇用形態の多様化やコンプライアンス、メンタルヘルスや残業削減への対応など、過去にはなかった様々な業務がのしかかってきています。ポストが増えないのにマネジャーという肩書きの人は増え続け、業務は複雑で負荷が高い、という状況が長く続いてきています。

また、仕事の変化もマネジメント不全に追い打ちをかけています。
ここ10年ほどで、急激にIT化や自動化が進んで便利になった一方で、仕事も組織も細分化され、フェイスtoフェイスの場が減った結果、一人ひとりが仕事全体を見渡しにくくなりました。加えて、製品やサービスの品質が向上し、故障やトラブルも少ないため、技術やナレッジを伝承する場面も減ってしまいました。

こうして、職場の人材育成力はじりじりと低下していきました。日本企業における人材育成力は、「やってみせる→説明する→やらせてみる→効果と理解を確認する」という4段階職業指導法を原型とする「OJT」が支えてきました。しかし今の職場で、そのような丁寧なプロセスを踏むことは現実的には難しいと言わざるを得ません。育てられた経験のないマネジャーによって、OJTによる人材育成の連鎖が途切れ、それが組織の弱体化に直結しているといえます。このように、マネジメントの機能不全は、ミドル自身の能力や頑張りの問題というよりも、長期にわたる環境変化の産物だといえます。

ではこうした状況において、マネジメントの機能を再構築するために、人材開発の面から打つべき手は何でしょうか。それを考えるための前提は、もはやマネジメントは誰でもできる仕事ではなく、企業が意図して創りあげ、磨き続けるべきプロフェッショナルな職能だ、というパラダイムです。つまり「皆課長くらいにはなるべき」という考え方やそれを維持する枠組みから決別できるかどうかでしょう。

そうした前提に立ったとき、ミドルを強くするために点検すべきポイントは3つあります。

1.ミドルを苦しめている「マネジメントVSプレイング」の構造から抜け出せるか
2.マネジメント人材の選定、登用、評価における一貫した組織的プロセスがあるか
3.ミドルマネジャーのスキル、意識を磨き続ける方策は確立できているか

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