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新入社員3

新入社員・若手人材の育成を、「将来のリーダー創出」に直結させるための3つの提言

若手の人材育成の重点課題は、 「自ら学ぶサイクル」を身につけさせること

弊社ファーストキャリア社は、セルムグループにおいて、主に入社後1~3年目くらい(ファーストキャリアの形成期)の若者の人材開発のお手伝いをしています。毎年、4月の新入社員研修の時期には17,000名以上の新入社員に接しています。

新入社員の特徴は、その時々の社会情勢や経済状況、メディアからの発信などに大きく影響を受けて変化するものですが、そんな中でも、年を追うごとに強く感じることが2つあります。

1つは、年々手がかかる新入社員が少なくなっているということ。もう1つは、「優秀だが、なんだか物足りない」という声を聞く機会が増えたということです。

これは、インターネットやSNSをはじめ、様々なルートで事前に膨大な情報が手に入ることから、「何を期待されているのか」を探り、そこからその期待に応える発言や態度を事前に把握することが可能だからと考えられます。実際、私たちが新人研修をお手伝いしていると、休憩時間の自販機の前などで受講者たちが、「コレとコレを組み合わせて発表すればOKだよね?」「制限時間がここまでだから、このくらいの内容でいいんじゃないか?」といった会話をしていて、がっかりすることもあります。彼らのそうした対策の結果として、受講者全員が及第点をとります。しかし良くも悪くも面白みに欠け、その結果「物足りない」という印象を生んでしまうのでしょう。

しかし、「ではもっと難しい研修にしよう」「何が合格ラインかはわからないような課題にしよう」などと、対策的な施策を講じていくのは、本質的な問題解決にはなりません。

そもそも若手育成担当者の責任は2つあります。1つは、配属先の部門に対する責任です。具体的には、基本的なビジネス行動といった、早く部門の戦力となるためのベースを身につけてもらうことです。研修コンテンツでいえば、マナーやロジカルシンキングなどの基本スキルやマインドセット研修などがこれにあたります。このテーマについて新入社員が事前に情報収集し、早く慣れてくれるのであれば歓迎すべきことです。こう考えると、今の新人~若手研修の中では、少し比重を下げてもいいかもしれません。

もう1つは、新入社員本人に対する責任です。本人に対する責任とは、彼らが自分の力を発揮でき、彼ら自身の未来を切り拓いていく力をつけることです。これは将来的にもし、彼らが現状に違和感を感じたり、経験したことのない事態に戸惑いを感じても、モヤモヤと不満を抱えこむだけで終わらないために必要な力です。それは、ビジネスの新しい方向性とリーダーシップを求める部門や経営にとっても、最も若手に期待することのはずです。これを教育コンテンツとして表現すれば、周囲に埋没することなく目指す姿を見つめ、自ら学習・行動していく「自ら学ぶサイクル」を身につける、ということになります。若手教育はここに力を入れていくべきです。

そのための新人~若手育成のポイントとして、

1.「学ぶスキル」をインストールする

2.新人~若手が部門の実課題解決に取り組む

3.若手を対象にしたファストトラック

という3つの切り口を、提言させていただきます。

1.「行動の型」ではなく、「学ぶスキル」をインストールする

新人研修で今主流になっているコンテンツは、仕事のすすめ方や仕事をスムーズに進めるコミュニケーションなどの「行動の型」を学ぶコンテンツです。これらは、配属された現場の仕事を習い、早く覚えていくために大切なものです。ですが、前述しましたように、「型」のあるテーマに対しては、近年の新入社員・若手社員はかなりスムーズにこなすことができます。

今後、最も必要だと誰もが予想している人材は、前例がない、あるいは正解がないビジネス環境においても成果を出せる人材でしょう。そう考えると、成長し続けるための思考や行動を身につけることが、より重要になっています。

そのためには、思考スキルやコミュニケーションスキル、専門知識などを一つひとつ独立したものとして学ばせるのではなく、学んだスキルを駆使して何らかのアウトプットをし、その結果から学び、学んだ結果を次に活かすという一連の流れをつくり、その過程で情報収集の仕方や、情報を持っている人の探し方、社内・社外のネットワークのつくり方などを身につけさせていくことが大切です。それこそが、今後の成長の礎になる「学ぶスキル」になります。

例えば研修の期間中全体を通じて、自分たちの価値観や考え方をまとめさせるプロジェクト型ワークなどは、有効な施策の一例です。テーマは、例えば「学生と社会人の違いは何か」「Wayの体現のために新入社員は何をすべきか」などといった、正解のない、抽象度の高いものを設定します。1人で考えればいいのではなく、社内での情報収集やヒアリングをするように促します。そして、集めた情報を単純にまとめて提出するのではなく、グループワークで自分たちの考えの合意をつくって発表してもらうのです。

もちろんそのためには、単発の研修より手間がかかることがあるかもしれません。また、その過程できちんと本人たちにフィードバックができることも重要な要素となります。そのために、周囲からの協力が必要になることもありますが、それさえクリアできれば、すぐに効果が得られる打ち手です。

2.新人だからこそ、部門の実課題解決に取り組む

実際に人が成長するのは「仕事の現場」です。人事が提供する集合研修は、その「キッカケ」や「振り返り」の場です。仕事の現場での人材開発(OJT)は部門が担当し、人事は研修(OFF‐JT)を担当する、と切り分け過ぎてしまうと、学びの内容と現場が乖離して心に残らないものになってしまったり、場合によっては研修を無意味に感じたりすることもあるかもしれません。そこで、その中間のようなラーニングの仕組みを、部門と人事が連携して行う取り組みができると、とても効果が高いと感じています。

具体的には、入社後半年~1年後程度のタイミングで行う、部門ごとの若手アクションラーニングです。アクションラーニングのテーマは、部門の実課題を扱います。業務の内容を理解しはじめていますが外部の視点も持っている、この時期の新人が行うアクションラーニングは、部門にとっても新鮮な視点を取り入れる、またとない機会となります。

私がご一緒した事例を1つご紹介します。X航空会社総合職の空港オペレーション部門会社出向者を対象に、1年目の秋口から約4ヵ月に渡って、現場の問題解決のアクションラーニングを進めました。キックオフ・最終発表では、社長はじめ役員陣、部長陣が実際に経営判断をしたり、具体的なアドバイスを行います。1年目社員には先輩社員がメンターにつき、そのメンターもアクションラーニングの集合研修に一緒に参加します。そして、研修以外の時間は新人とメンターが2人3脚で課題の把握、及び解決へのアクションに取り組みました。

この取り組みは数年間継続して行っており、実際に空港オペレーションの改善につながった施策がいくつも生まれています。取り組みの過程で、必然的に様々な関係者と関わりますので、人脈が広がったり、思いもしなかった課題が明らかになるなど、本人にとっても周囲にとっても学習効果の高い取り組みになっています。

取り組みやすい部門からスタートし、好事例を社内に共有するなどして広げていくとよいのではないでしょうか。

3.若手を対象にしたファストトラック

新入社員研修と、その後半年ないし1年後のフォローをかねた集合研修は、内容の見直しは必要であっても、現在でも手厚く行われていると思います。しかしその後、マネジャー昇格を検討される年齢になるまでの数年の間は、人材開発が本人と現場に任せきりになっていることにも課題を感じます。しかし、すぐにすべての若手の人材開発のあり方を変えるというのはハードルが高いことです。そこで、まずは経営リーダー候補に絞って、若手のうちから人材育成の「ファストトラック」を準備すべきだと考えています。ファストトラックのポイントは3つあります。

まず、リーダーのポテンシャルをもつ人材と出会う方法を持つ必要があります。リーダーシップとはスキルではなく、学ぶ姿勢や目的意識が源になるものです。つまり、リーダーのポテンシャルをもつ人材と出会う方法を持つとは、学ぶ姿勢や目的意識が問われる場をつくること、だと考えます。

弊社では、この仮説に基づいて、企業からの参加者と学生が、共に地方が抱える社会課題に取り組む「リーダーズ・キャリア・キャンプ」という取り組みを企画し、昨年は2回実施して、手ごたえを感じています。参加者全員が、自分の働く意味やビジョンを深く考える機会になりました。また、通常の採用活動では出会えないような学生と企業が出会う機会にもなりました。

次に、リーダーへの動機づけが必要です。リーダーのポテンシャルをもった人材が憧れるのは、やはりリーダーです。実際、先ほどご紹介した「リーダーズ・キャリア・キャンプ」でも、学生からの支持を集めたのは、若手エースとみなされる企業からの参加者でした。人材開発側としては、若手が「憧れることのできるリーダー」と接する場をつくることが大切です。社内外のリーダーを招いての座談会や、経営陣とのディスカッションや共同ワークなど、関りの場を多く仕掛けていくことを意識すべきです。

そして3つめのポイントが、抜擢的な配置です。経営リーダーに必要な幅広い視野や高い視座といったものは、座学だけでは持ちえないからです。「論理的には正しいのに、うまくいかない」、そんな状況を肌感覚としてわかっていることが大切です。

私は、若手のうちからこのようなファストトラックを持たないと、イノベーションを起こすことも、優秀層を惹きつけることもできないのではないかと感じます。かつては「石の上にも3年」という言葉が通用しましたが、優秀な若手でも、何年も現状の中で修行しているうちに、カドがとれた人材が出来上がってしまうでしょう。あるいは、どんどん新しい挑戦ができるスタートアップ企業に魅力を感じて、出て行ってしまうかもしれません。

今、経営者の方とお話しすると、例外なく「若手をもっと活躍させたい」とおっしゃいます。若手が活躍するためには、能力が優秀というだけでなく、経験の点でも実績の点でもある程度積んでいないと、若手を抜擢して活躍させるという判断をするのは難しいでしょう。若手の活躍を望むなら、ファストトラックは必須の施策なのではないでしょうか。

人材開発部門と採用部門の連携は必須

若手の力を活かすための3つの切り口を提言させていただきました。これは、現在は課長級からスタートすることが多いタレントマネジメントを、もっと若い層からスタートさせるということを意味します。つまり、ヤングタレントマネジメントです。これらは採用部門と育成部門、そして現場部門が、連携していかなければ実現しないことです。特に、若手リーダーの輩出という目的においては、人材開発部門と採用部門は、これまでよりも密度濃く、人材の情報や施策内容の共有や協力が必要になるでしょう。それさえできれば若手のリーダー輩出は一歩前進します。

そして、自社のリテンションのみを高めるのではなく、むしろ社会に対して、どんどん優秀な人材を輩出していくスタンスでいることも必要だと思います。その方が企業としての価値も高まり、かえって優秀な人材を惹きつけることができるのではないかと思うからです。そんな大きな”器“を見せられる企業こそが、これからの時代を牽引していくのではないでしょうか。

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