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Think locally, Act regionally, Leverage globallyを 実現するための人材開発

グローバル化と現地化を両立させる能力は、これまではよく「Think global, Act local」という言葉で表現されてきました。ですが今は「Think locally, Act regionally, Leverage globally」のほうがしっくりくるように思います。
株式会社セルム 代表取締役社長 加島禎二

この言葉は、コンサルタントの永井孝尚氏のブログで見つけた言葉で、「現地で考え、地域レベルで行動し、グローバルレベルの資産やしくみを活用する」といった意味でしょう。
例えば商品開発では、まず各国の社員が自国の市場環境、顧客、競合をつぶさに見て、どうしたら売れるかを徹底して考えます(Think locally)。この時、現地はとにかく売ればいい、作ればいいという一本調子なビジネス展開では、仮にヒットは飛ばせたとしても、すぐに他社が追随し、やがて収益性が落ちていってしまいます。そこで、ビジネスの範囲をregionレベルに広げて、そこに各国の利害を調整しながら強いサプライチェーンをつくりこめば、容易に他社が追いつけなくなります。同時に、国ごとの政変や環境リスクを地域の広がりによって軽減させることもできます(Act regionally)。さらにそのビジネスのコア部分に、本社がもつ膨大な技術開発の蓄積やグローバルなネットワークを取り込んで、密接に連携するところまでもっていければ、現地化が進めば進むほど、本社も強くなるという好循環が生まれます。(Leverage globally)。
昨今アジアで地域統括機能の新設が相次いでいるのは、現地の知恵と本社の力をつなげるという高度な組織マネジメントに移行することで、腰を据えて戦っていこうとする日本企業の意志の表れでしょう。
では、Think locally, Act regionally, Leverage globallyをドライブする人材開発とは何でしょうか。
多くの方が様々に指摘していますが、私は「多様性」、「組織横断の業務力」、「事業視点」の3つだと思います。

 

1.多様性

まず何よりも先に取り組むべきは、「多様性」を飛躍的に促進することです。
日本人をある国に海外赴任させれば「異文化」の経験はできます。それによって「違いを受け入れる」力を養うことはできます。しかし今後は正解がない時代です。そこで求められるのは「違いを活用して新しいアイデアを生み出したり、不確実性にうまく対処する強さを組織にもたらす」ことまでもが求められます。それには、多様な人たち一人ひとりが違った考え方で考えて、ぶつけ合うことが大切です。表面的に合意できる一つの解を探すのではなく、「今回はAさんのアイディアでいってみよう、それがだめだったらBさんのアイディアでいってみよう」という感じで、相互に学習しながら試行錯誤していくスタイルが必要です。このような力を開発しようと思えば、日本国内だけではまず難しいので、若いうちにある一国へ赴任させ、異文化を経験した上で、ミドル前後で地域統括組織、あるいはM&Aした企業の本社及び地域統括組織に赴任させることが極めて貴重な人材開発の機会になります。

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若いうちに海外経験、ミドル前後で地域総括組織での経験を積ませる

 

2.組織横断の業務力

次に、「組織横断」のタスクを行える能力も、「多様性」と同じくらい重要なテーマです。
事業をまたいで、あるいは職能間をまたいで仕事をアサインすることは、「異なる目標をもった人や組織と連携する」「サプライチェーンやバリューチェーン全体をみる」と同時に、「繋がりを考えて判断する」「マトリックスでものを考える」という、高度なマネジメント能力を身につけるチャンスです。一方で、基本的に上下の階層関係だけで仕事をしていると、気づかないうちに組織構造や権限、ルールなどを活用する力は身につくものの、利害がぶつかる人に相互のメリットを説明したり、わかってもらえない相手をなんとか説得したりする機会が減るため、結果として「人への影響力」であるリーダーシップの開発は停滞してしまいます。また、リーダーシップの開発のためによく行われる、候補人材を早くから上位ポジションに抜擢することは有効ではありますが、「組織横断」のタスクを担当することでしか獲得できない能力があることを認識すべきでしょう。しかもこのアサインは、異動や昇進がなくても可能ですから、優秀人材を次々とアサインできるという利点があります。このような機会によって、「連携」や「つながり」をつくる力を身につけたリーダーは、地域統括組織で国境をまたいだ仕事をしても、高い成果を出すことができるはずです。
ただ、ここで注意しなければならないのは、組織横断のプロジェクトを単に増やすことではないということです。「やたらプロジェクトが多い会社は組織力が低い」とも言われます。GEのワークアウトや、日産のCFT(クロスファンクショナルチーム)のように、事業にとっての明確な位置づけとルール、そしてメンバーの役割分担、さらにそれを運営していくスキル開発研修などの仕組みがあってはじめて、組織横断の職務が最高の能力開発機会になり得るのです。

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事業にとっての位置付けをはっきりした、組織横断の職務を担当させる

 

3.事業視点

もう一つ促進すべき重要な人材開発は、「事業視点」の獲得ではないでしょうか。
最近、国内のマネジメントポスト不足も背景にあり、管理職の登用基準を見直す企業が多くあります。管理職へのアセスメントをすると決まって弱みと出るのが、ビジョンや戦略構想力です。特に自分が属する部門の中期的な理想像を描かせたり、経営戦略や上位組織の方針と自身の組織の関連を説明する実習を課すと、驚くほど合格点に達する人材が少ない現状を目の当たりにします。業務の専門性は高いが、組織のビジョンを描いた経験がない。細分化されたオペレーションレベルのPDCAは回っているが、「戦略レベルのPDCA」(環境、市場、競合の変化から課題を形成し、解決策を講じることを繰り返して競争優位性を強固にする仕事の仕方)が回っていない。HOWは得意だが、WHATが描けない…等々。
残念ながら、現在の組織はこのような事業視点の低い人材を創ってしまっていると思います。こうした人材がThink locally, Act regionally, Leverage globallyという複雑なマネジメントが求められる中、最前線のインターフェースを務めることはとてもできません。
では、どうするか。事業視点は、部門トップや経営陣との「マネジメントレビュー」で磨かれます。マネジメントレビューとは、自分の仕事や組織の目標と成果について、部門トップに定期的にプレゼンし、徹底的に突っ込まれる機会です。事業視点に引き上げるべく、部門の戦略課題をテーマにアクションラーニングさせ、経営陣にプレゼンする方法も有効ですが、それだけでは不十分です。いわゆる「提言型」のアウトプットは、視点を高めることはできても、当事者意識や切迫感を持たせることはできないからです。自分の仕事を戦略レベルでとらえ、PDCA を回す責任を課し、経営陣がそれをレビューすることが、最も効果的です。
最後に、こうした人材開発を行うためにはHR、特にHRD部門も変わらなければならないということに触れたいと思います。
ご存じの通りグローバルメジャー企業のHRと、大手日本企業のHRは、事業ラインのHRの仕事がまるで違います。日本企業のラインHRは、コーポレートHRの窓口機能であることがほとんどです。しかし、グローバルメジャー企業のHRは、事業部門のリーダーのビジョン達成の支援を、ミッションに動いています。メンバー200~300人に一人HRが付き、部門トップの方針を徹底的に理解した上で、それを達成するためのキーポジション、キーパーソン、さらにその後継者候補を、業務のあらゆる機会をとらえて把握し、個々人のディべロップメントプランを作成、実行します。時にはリーダーのメンターをし、時には組織のチームビルディングワークショップのファシリテーションを行います。Business Partnering Professional HRと呼ぶべき仕事のスタイルです。そして一定期間で、コーポレートHRとラインのHRを異動してHRの専門性をもったプロになっていきます。GEからLIXILのトップに招かれた藤森義明氏が、同僚のHRトップだった八木洋介氏を引き連れていかれたのも、HRのプロフェッショナルが何よりも重要であることを体で理解しているからでしょう。
Think locally, Act regionally, Leverage globallyを実行するための人材開発は、今回述べたこと以外にも様々な論点があろうかと思います。これからもお客様のお悩みを真っ先に受けとめ、パートナーとしてその解決のお手伝いをし続けることで、日本企業が勝ち残るための人材開発の鍵を見つけていきたいと思います。

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部門TOPや経営陣との「マネジメントレビュー」で磨かれる

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