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株式会社みずほフィナンシャルグループ – 持続的な成長を可能にする人材基盤をつくる

株式会社みずほフィナンシャルグループ
グループ人事部 部長 岡武史 氏
グループ人事部 キャリア開発室 室長 佐藤賀雅 氏

2013年に新しい中期経営計画「One MIZUHO New Frontierプラン」を発表し、新しい成長軌道に舵を切ったみずほフィナンシャルグループ。
「銀・信・証」という金融の広いフィールドにおけるシナジー力の発揮と、グローバル化に対応するために設定した人事課題は、変化する戦略・戦術に対応できる柔軟で自律的に学習しあう人材基盤をつくることだという。それが持続的な成長を可能にすると語るグループ人事部部長の岡 武史氏、キャリア開発室室長の佐藤 賀雅氏にお話を伺った。

グループシナジーを高める
「人事の共通プラットフォーム」と 「カルチャーづくり」

加藤 まず、現在のみずほグループの人事方針と課題をお伺いできますか。

 岡 現在の中期経営計画「One MIZUHO New Frontier プラン」を発表したのが2013年です。ビジョンとして掲げているのは、「日本、そして、アジアと世界の発展に貢献し、お客さまから最も信頼される、グローバルで開かれた総合金融グループ」というものです。これを実現するための5つの基本方針を設定し、それぞれをさらに具体化させた10の戦略軸があります。人事戦略はそのうちの1つ「事業戦略を支える最適な経営基盤(人材・業務インフラ)の確立」を担うものと位置付けています。市場環境に対応して変化する戦略を柔軟に、きちんと支えることのできる人材の育成が、私たちグループ人事部の責務です。
これをよりブレイクダウンして、多くの社員が「〈みずほ〉の基本理念」に共感して、それに則った行動を内発的に起こす企業風土をつくることを人事ビジョンとして掲げました。みずほというグループ全体が、社員一人ひとりにとって、やりがいと誇り、そして共通の住処と感じられることが目指す姿です。

加藤 みずほ様らしいスケール感のある方針と課題設定ですね。

 岡 みずほグループは、「銀行・信託・証券」という金融の全域をカバーする分野を持っており、グループシナジーを出していくことで、みずほならではの強みを発揮できると考えています。目指しているのは「One MIZUHO」を通して、お客さまに最も信頼される「総合金融グループ」となることです。

加藤 それをどのような取組みで実現しようとされているのですか。

 みずほの人事制度の特徴として「人事の共通プラットフォーム」があります。給与等の基本的処遇、福利厚生、人材育成などをグループ横断で共通化しています。グループ内で転籍しても、資格や退職金などを引き継いでいくことができますので、柔軟に異動・転籍をすることができます。そういったグループ内の転籍異動を通じて人材育成を図っていくのみならず、グループ横断での「カルチャー」の醸成に繋げていきたいと考えています。
金融業務は多様化・複雑化していますから、お客様のニーズ対応には複数の専門領域が必要です。それを一人でワンストップで対応できるということはなかなか難しいと思いますが、みずほグループの密接な連携のあり方は、他社に真似のできない競争力であると思います。
また、こうした人事交流はグローバルベースでも積極的に行っています。現在、毎年100人以上の若手を駐在やトレーニーとして海外異動をさせたり、逆にナショナルスタッフに東京本社で勤務してもらうなどの取組みも始めています。まだ課題は少なくありませんが、ようやく軌道に乗り加速化し始めたのが、ここ近年の状況だと思っています。

みずほの考える タレント・パイプライン

加藤 弊社では2002年から、みずほグループ様の指名研修をお手伝いさせていただいております。もう13年継続されていて、これは我々が知る限り、群を抜いて長く継続されている取組みです。このような人事施策の取組みと位置付けを教えていただけますか。

佐藤 我々のユニークな取組みの一つとして、「みずほユニバーシティ」というプログラムがあります。これは、グループ横断的に様々な教育機会を提供しようというもので、時の著名人をお招きし講演を行う「みずほナレッジフォーラム」や、業後や休日を利用して行う自己啓発プログラムである「みずほカレッジ」は、グループ社員全員に門戸が開かれています。
中でも、特徴的なのは「PMD(Programfor Management Development)」「AMP(Advanced Management Program)」と呼ばれる提言型ワークショップで、みずほ創設以来10年以上続いています。このプログラムの特徴は、銀行・証券・信託等の全てのエンティティーの若手からシニア層まで、応募、指名を通じて様々な職階が参加可能である点です。参加者は、エンティティーの垣根を超え、みずほをより良くしたいという強い想いをもって本プログラムに臨みます。
また、ここでは半年間にわたるインプットセッション、ケーススタディー、グループディスカッションを通じ〈オールみずほ〉の視点で自ら課題を設定し、最終的にはグループCEOに対し具体的な提言を行います。課題設定・解決に向けた議論の中で、ユニット長や部次長クラスが具体的なアドバイスを行う他、メンター的な役割を担っている点もユニークかもしれません。

加藤 手ごたえとしては、どのようなことがありますか。

佐藤 「PMD」や「AMP」は、紆余曲折はありましたが、10年以上続き、約1000名の卒業生を抱えています。ここで出てきたアイディア・事業構想の中には、実際の事業戦略に採りいれられているものも複数出てきています。また、経営陣の関わり方も従来に増して強くなりました。単に最終発表を聞くだけでなく、プログラムを通じてメンター的な役割を担ってもらっています。社内における認知度も格段に高くなり、かつての卒業生が上司となり部下に本プログラムへの参加を推奨するケースも多くなりました。何よりも、業務を抱えながら半年間にわたるタフアサインメントに真摯に向き合うことで、参加者間にユニットを超えた強固なネットワークが築き上げられています。

毎年、前年度の参加者との懇親会を実施し、“襷をつなぐ”試みを行っていますが、本年度はこれに加え、過去10数年にわたる参加者全員を対象としたOB/OG会を初めて開催したところ、我々事務局としても驚いたことに、延べ400名の方が参加しました。様々な研修を行っていますが、卒業生の心と身体にここまで深く記憶として刻まれている研修はそう多くないと思います。半年間、共に多忙な業務を抱えながら、みずほの将来やあるべき姿について、徹底的に語り合った「戦友」なんですね。今回のOB会の盛り上がりを見て改めて、繋がりの強さを確信しました。

加藤 10年前に参加した研修のOB会に参加するというのは凄いことです。普通に考えたら、10年前のことなどは忘れていることの方が多いかもしれません。
縦のつながりもあるということも凄いことだと思います。

佐藤 プログラムはもちろん毎年改善し進化させていますが、我々が手を加えているというより、参加者が自己発展的に盛り上がってきているという気がします。それが長く続けられた理由の1つではないかと思います。

 歴代の経営トップがここでのアウトプットや運営に興味を持っているということも、理由の1つだと思います。参加者の緊張感も違いますし、みずほのDNAという意味でも、1本筋が通ったものになっています。

加藤 みずほグループ全体の視点を持ったリーダーを育成するタレント・パイプラインになっているのですね。

佐藤 「PMD」「AMP」は1つの例で、将来のリーダー候補の教育機会の場であると同時に、みずほを良くしたいという想いの受け皿として機能してきました。
今後は、受講者同士の「横」のネットワークに、OB/OGとしての「縦」の繋がりを加えることで、社内に本プログラム参加者を起点とした自主的なコミュニティー、イメージとして「私塾」のようなものが築き上げられることを期待しています。
プログラムの参加者は各持ち場で枢要なポストについており、エンティティーもばらばら、専門領域も多様であり、一つの自主的なコミュニティーとしてまとまれば大きな影響力を持ち得ると考えます。相互啓発的に学び・教え、世代やエンティティーを超えて、より良い組織を目指してストレートトークでぶつかり合う、こうした自律的な組織作りを目指す上で、社内コミュニティーがチェンジエージェントとして機能していく姿が一つの理想形ではないでしょうか。

今後への課題は、カルチャーの実践と新しい学び方の導入

加藤 そういった想いから「カルチャーづくり」という言葉がでてきたのですね。

 カルチャー、つまりみずほの価値観に基づく行動を浸透させるために、様々な場面を利用して、みずほの価値観や行動を考える場をより多く提供できるようにしています。「PMD」「AMP」の中の社長講話があったり、他の研修でも我々が手分けして話をする機会を設けています。これはとことん草の根的にやっています。年に1回、グループベースでカルチャーアウォードの表彰を行っていたり、みずほの価値観を体現する行動を一人称で考えることをメインにした研修を行ったりしています。

佐藤 みずほvalueに関するセッションは、新人からシニア層まで様々な研修で取り入れています。そこでは、みずほが目指す姿を理解するだけでなく、その為に自分はどうありたいか、又はどうあるべきかといった事を参加者各自が自分事として考える場を提供するよう心がけています。

 理解は浸透してきたと思います。ただ、そこから如何に定着させ実践に繋げていくかが次の課題だと考えています。

加藤 最後に、その他の取組みについてお聞かせ下さい。

 最近の取組みの一例ですが、業務が多様化し、密度が濃くなる中で、なかなか勉強する時間がとれない、という声をうけて自宅PCやスマホを通じて受講可能な「e-Campus」という自己啓発の仕組みをつくりました。業務時間外に利用するものにも関わらず、アクセス数がどーんと増えたのです。アクセス時間をみると朝の通勤時間帯のアクセスが一番多いことがわかりました。面白いですね。
こうしたことからも、自己成長したい。活躍したい、貢献したいと考えている人は多くいると感じます。そういう人達を、いかに刺激して動きださせるかということが人事の役割だと思います。今までの育成は、この商品を覚えてください、課長になったらこの勉強をしましょう、といった一方通行が多かったと思います。その関係が少しずつ変わってきたなという感じがあります。

加藤 草の根的だというお言葉もありましたが、先進的な取組みだと思います。本日はどうもありがとうございました。

Interviewer/株式会社セルム 取締役 加藤 友希
2015.1月取材
※所属・肩書・記事内容は取材当時のものです。

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