一人ひとりが“モーター”を持ち、
自ら考え行動し、バリューを生み出す
「自走する組織」を目指す

武田薬品工業株式会社
CMC研究センター センター所長 三輪哲生 氏
CMC研究センターCMC戦略部長 松永浩和 氏

「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」を経営理念に掲げる武田薬品工業。同社の医薬品創出の鍵を握る研究開発の一端を担うのが、CMC研究センター(※)である。グローバル規模での新薬開発競争が激しさを増す中、CMC研究センターにも変革が求められている。トップの三輪センター所長と人材戦略を担う松永CMC戦略部長のお二人に、同センターの目指す人材戦略について伺った。

※CMC研究センター…CMCとはChemistry, Manufacturing and Control(化学、製造及び品質管理)の略であり、CMC研究は、創薬研究でみいだされた新薬候補物質を医薬品として市場に供給するための、原薬や製剤の設計・製造及びその高い品質を確保する研究開発活動を指す。

「生産」から「R&D」へ。そしてグローバル化への変革

加島:CMC研究センター(以下「CMCC」)の目指す方向について、まずお伺いできますか。

三輪:私たちCMCCは2009年4月に、製薬本部の一組織から1つのビジネスユニットとして独立しました。その際に期待されたことは2つあると考えています。1つは、製造部門からR&D部門への変革です。製造部門という観点であれば、きっちりとモノをつくることを徹底するのが使命ですが、R&Dという観点でみると、やや定型的、受身的な仕事の進め方になってしまっている点が課題でした。
もう1つは、さらなるグローバル化への対応です。CMCCは、以前はドメスティックな仕事の仕方をしていた組織だったといっていいでしょう。それが、例えば医薬開発本部はシカゴにヘッドクオーターが移るなど、全社的にグローバル化が加速する中で、CMCCもグローバル化に対応する組織に変革することが求められていました。
この2つをいかに実現していくか。組織を変革するには、組織の構成を変えるだけではなく、中身も変えていかなければなりません。そこで、HRDによって変革を下支えしていく、あるいはHRDで変革をドライブしていくことが必要だと考えました。

 

組織変革プロジェクトを通じて自分の行動で組織を変えるクセをつける

三輪:私たちはこの組織を、自ら考え、自ら行動し、バリューを生み出していく組織、言わば「自走する組織」にしたいと考えています。一人ひとりは歯車ではなく、小さくてもよいからモーターになってほしい。そのモーターが連結することによって、強力なパワーを発揮できる組織を目指したいというメッセージを、CMC研究センター設立当初から発信しています。
長い間製薬本部にあった部門ですので、決まったものを作ることには極めて高い能力があるのですが、環境に応じて自ら考え、新たな価値を生み出していくことに慣れていない。それを変えていくために、Project based OJT、Project based Human Developmentの手法を導入することにしました。
具体的には小さなユニットをいくつもつくって、それを組織変革のコアにしていこうと考えたのです。そこで、私のセンター所長就任と同時に「CMC Capability Enhancement Project(CEP=セップ)」を立ち上げまして、17のプロジェクトを一斉にスタートさせました。

加島:一度に17もですか。

三輪:ええ。無謀だという批判も受けましたが、課題と感じることに手を付けずに、しばらく放置しておくことの方がよくないと考え、一気に着手しました。
研究開発の生産性向上、グローバル化推進など、様々なテーマについて各研究所から横断的に選抜して、5、6人ずつのチームを作り1年間取り組みました。
この取り組みで目指したのは、「自分は組織の中では1つの歯車かもしれないが、組織のために考えて行動することで組織が変わる」ということを実感してもらうことです。結果が出れば、本人もうれしいし、周りも「すごいじゃないか」と褒めてくれる。何よりも組織が良い方向に変わっていくことが喜びにつながります。多分、メンバーの皆さんの中にもなんとなく「こうだったらいいな」と感じていたこともあったのだと思います。どのプロジェクトも成功したと言ってよいと思っています。

Interviewer/株式会社セルム代表取締役社長 加島禎二
2011.11月取材
※所属・肩書・記事内容は取材当時のものです。

クロス・ファンクション・チームでグローバルマインドを醸成

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