メンバーの理解と
コミュニケーションを深くすることが
「働き方改革」を推進する力になる

清水建設株式会社

河田 孝志氏、樋口 義弘氏、齊藤 武文氏

建設業界は他業界の平均より、年間で約300時間も実労働時間が多いという統計がある。
また、ほとんどの官公庁や産業分野では既に定着している週休2日制も
まだ達成できていないという業界特性をもつ建設業界が、国をあげての「働き方改革」を追い風に、
2021年度末までに全現場での4週8閉所以上の実現という、
待ったなしの長時間労働の是正に取り組み始めた。
清水建設はこの懸案に対し、部門ごとに業務の特性を踏まえた取り組みをスタートさせており、
土木技術本部ではまずはパイロット部署での取り組みから、実効ある方法論の立案と課題の洗い出しを
行っている。
この取り組みを推進する、土木技術本部長 河田 孝志氏、土木技術本部 副本部長 樋口 義弘氏、
土木総本部 土木企画室 副室長 齊藤 武文氏に、その概要と手ごたえ、今後への展望について
お話を伺った。

長時間労働を是正できないと建設業界が衰退してしまう

 加島 清水建設様にとって、「働き方改革」とはどのような課題なのでしょうか。

 齊藤 建設業界にとって、担い手となる人材を確保することは、喫緊の課題です。建設業就業者の約34%が55歳以上であり、今後10年間でかなりの人数が引退します。今のままでは建設業の生産体制が破綻し、使命である社会資本の整備が困難になるという危機感があります。若い人材が建設業界を敬遠する要因となっている長時間労働を是正しなければ、根本的な解決はないでしょう。

 河田 当社社長の井上は、日建連(日本建設業連合会)の「週休2日推進本部」の本部長でもあります。これは、建設業界全体で取り組まなければならない課題であり、清水建設が業界を牽引する取り組みをするのだ、と強く思っています。

 齊藤 「週休2日制」は、他産業では既に常識になっていることかもしれませんが、建設業界では長い間実現できないでいました。まず、お客様の「早く建物を完成してほしい」という要望に応えることが最優先であり、これまでの工期短縮という生産性向上の成果は、引き渡しの早期化という形でお客様に還元していました。それに対して「働き方改革」では、「休ませてほしい」といわなければなりません。また、ある建設現場は休んで、別の現場は休まなかったら、お金を稼ぎたい技能労働者は、休まない現場に流れていってしまうでしょう。
 業界全体で足並みを揃えないと、実現できない環境があるのです。270×153【トリミング】5shot

 樋口 また、工期が延びれば現場経費など、増えるコストもあります。「働き方改革」が肯定される世の中の風潮や、政府のバックアップなどもあり、建設業以外の業界でも商売を削るような判断もされるようになってきました。そんな今だから、建設業界はこの課題に取り組めるともいえます。この追い風を力にして進めていきたいと思います。

 齊藤 現場でいえば4週8閉所以上、個人ベースでいえば
4週8休+祝祭日休+年休取得の増加。これを2021年度末までに達成することが、我々の取り組み達成の期限でもあり、業界全体として設定した期限でもあります。休日数だけでなく、時間外労働の時間も削減できなければ長時間労働の是正になりません。また、仕事の質や量を犠牲にするわけにはいきませんので、長時間労働の是正と共に生産性の向上も必須で、この2本立てで取り組んでいます。

Interviewer/株式会社セルム 代表取締役社長 加島 禎二/セネラルマネジャー 中野 新悟
2018年1月取材
※所属・肩書・記事内容は取材当時のものです。

ロードマップは、パイロット部署から全社へ、そして協力事業者へ

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