一人ひとりが変わり、
会社全体を変えるために

株式会社カネカ
取締役常務執行役員  亀本茂 氏
業務革新本部長兼人事部・総務部・法務室・情報システム部・物流統括部担当 

「研究開発型企業」としてグローバルに成長を続けるカネカだが、更なる成長に向けて取り組むべき課題は、
全社員の発想と行動の変革だという。
その羅針盤として「KANEKA UNITED宣言」を策定し、社員一人ひとりがイノベーションに挑戦し、カネカグループの組織力の強化に取り組む、カネカグループの人事部門担当役員である取締役常務執行役員の亀本茂氏に、詳しいお話を伺った。

求心力を持たせるための「KANEKA  UNITED宣言」

田口 カネカ様では「KANEKA UNITED宣言」を掲げられ、“「変革」と「成長」を実現するカネカの絆”という方向性を打ち出されていらっしゃいます。この長期ビジョンを作ろうという話になった背景について、お聞かせくださいますか。

亀本 2008年度は、当社の業績を支えていたライフサイエンス分野、エレクトロニクス分野の競争が激しくなり、収益が悪化してきました。そこにリーマン・ショックが追い打ちをかけ、営業利益こそ若干プラスでしたが純利益では赤字に陥りました。当時は、カネカはこれからどうなるのか、カネカは本当に大丈夫かという不安感が社内に色濃く漂っていたと思います。このままだと社内の雰囲気が暗くなる、一体感が崩れていくといった危機感を強く持ちました。
 この状況を打開するためには求心力、みんなの気持ちを一つにしていかなければいけない、ということで、会社としてのビジョンをはっきり示し、そのビジョンに向かって一致団結する組織に持っていこうと考えたのです。そこで、次代のカネカを支えるリーダーたちを集め、「10年後のカネカをどうしたいか」を考える「長期ビジョン策定委員会」を作り、徹底的に議論を繰り返しました。それを形にしたのが「KANEKA UNITED宣言」です。全社的に発表したのはカネカ創立60周年の創立記念日にあたる2009年の9月1日で、その実現に向けた中期実行計画のスタートは2010年の4月からです。

田口 「KANEKA UNITED宣言」で議論の中心となったのは、どのような点ですか。

亀本 一番に議論したのは「求心力を持たせる」という部分です。そこで、カネカはどんな会社でありたいかという存在意義や社会的使命をきちんと定義するために、「企業理念」から議論を始めていきました。そこで、「人と、技術の創造的融合により未来を切り拓く価値を共創し、地球環境とゆたかな暮らしに貢献します。」という「企業理念」を定めました。ただ、どうしても「企業理念」は抽象的な表現となるので、社員に対してどのような会社になりたいのかが分かるような説明をする必要があります。そこで、あるべき姿・大切にしている価値観を表現した「目指す企業像」と、行動指針としての「CSR基本方針」を定め、この3つをカネカのアイデンティティとして明確に定めました。
 「企業理念」の部分はカネカのアイデンティティですから、少なくともこの10年間は変えないで“拠り所”として大事にしていきます。一方、具体的な経営活動方針については、環境変化に応じて柔軟に切り替えていくつもりです。

田口 イノベーションマインドを高め、組織としての力を高めていくために、まず求心力を持たせることをお考えになったわけですね。そして、同じ価値観、同じ方向の下で、「変革」と「成長」を実現していこうということですか。

Interviewer/株式会社セルム 常務取締役 田口佳子
2013.5月取材
※所属・肩書・記事内容は取材当時のものです。

一人ひとりの創意・工夫がイノベーションを引き起こす

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