【ASEAN日系企業のHRM調査(抜粋)】アジアで今、求められる人事制度とリテンションのキーポイント

アセアンに支社(地域本社)を展開する企業様を対象に、「アセアン地域HRM実態調査:優秀人材の獲得・育成とリテンション」を実施しました。ここでは「アジアで今、求められる人事制度」と「優秀人材リテンションのキーポイント」に焦点を当てて、内容をご紹介いたします。

 現行の人事制度が本社と一致している制度(現状)」及び 「人事制度が本社と一致していることが望ましい制度
(理想)」を質問したところ、以下のような結果を得ました。  

[ 調査概要 ]
・早稲田大学大学院大滝令嗣教授に監修いただき、シンガポールと日本にて実施
・調査企業数:アセアン地域に支社を展開する45社
・調査手法:インタビュー、アンケート  
・期間:2016年7月~10月
※5段階で評価

本社との統一が望まれる人事制度は 「企業理念の教育」「コンピテンシーモデル」「リーダー育成」
地域ごとの対応が望ましいのは、「福利厚生」「採用」

(WEB大)人事制度:日本本社との統一度合

   日本本社との現状の人事制度の統一度合いを訊ねたところ、最も高いポイントがついた項目(「企業理念と共有価値の教育」)でも2.7ptと全体的に低い評価になりました。

 その中でも現状で比較的制度が統一されているという回答の多かった項目は「企業理念と共有価値の教育」「育成制度(グローバルビジネスリーダー開発)」「リーダーシップコンピテンシーモデル」。この3項目は、本社と一致していることが望ましい制度を訊ねた結果でも上位に挙げられています。

 一方、「採用制度」と「福利厚生制度」については、現状・今後(理想)とも、ほとんどの回答が5段階評価の「1」と「2」に集中しました。つまり、この2つの制度は国ごとに個別に対応することが望ましいと考えられているようです。現地社員の価値観や多様な文化・慣習に即した形を取るべきといえるのでしょう。

 

対応が急務なのは「人(タレント)の見える化」

(400×300)今、特に変革が求められている制度(ギャップの大きい順)

 現状と理想のギャップが大きい制度は、統一への希望が高い反面、実状は地域に任されたまま、という対応を急ぐべき人事制度だと考えられます。

 ギャップの大きい5項目をあげると左記の通りとなります。この項目は全て「人(タレント)の見える化」に関連する項目です。ビジネスニーズの変化に応えるため、現地人材の戦力化を支える制度が求められているといえるでしょう。

 

退職理由は、「給与水準」だけではない  

(中)退職理由

  現地人材の退職理由を尋ねたところ、「給与水準」が1位となりましたが、その1項目だけが突出して高かったわけではありません。

 仕事の与え方や今後のキャリアアップに向けた能力開発のあり方が、退職理由になっていることがこの調査からもわかりました。また「日本人上司との関係」は、「現地人材との人間関係」よりも多くあげられていることにも注目したいと思います。  

 平行しておこなったインタビュー調査では、“日本企業はプロセスが見えない” “共通言語がない” “評価項目がわからない”などが現地社員からの不満としてよくあがると指摘されています。
 一方、日本式の「密着型指導OJT」「長期視点」「良好な人間関係」等の良さはアジアの人材に理解してもらいやすく、一度、強い信頼関係を結べれば、長期雇用につながるという意見も多く聞かれました。
 リテンションのためにまだまだ改善の余地がありそうです。 

 

「人(タレント)の見える化」を進めつつ、 今こそ、現地の優秀人材の戦力化を

(WEB小)HRM施策の重点項目

 本調査から人事制度については、全社一丸となって統一・共有すべきテーマと、臨機応変にローカルに任せた方が良いテーマが明確になりました。また、優秀人材を登用する「人(タレント)の見える化」施策へのニーズと日本式の丁寧な人材育成の有効性も確認できました。こうした対応によって現地の優秀人材を戦力化できれば、今後、アジアのみならずグローバルでも日本企業が勝ち残る道が見えてくるのではないでしょうか。

(2016年7月~10月 取材)

(【ASEAN日系企業のHRM調査(抜粋)】アジアで今、求められる人事制度とリテンションのキーポイント)